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2009年の夏から、趣味で買い集めたお菓子の本についてのレビューを書いています。もっと書く事をエンジョイしたくなり、本棚から手放す本、追加する本がいくつか出てきました。ですので、ごくたまに書き込まれる本の内容についてのご質問に詳しく答えられない場合がございます。それでは、お時間ありましたら記事にお付き合い頂きつつ、ご一緒にお菓子本を楽しみましょう。

oyatsu082

Author:oyatsu082

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お菓子な人生

小嶋ルミさんのレシピ本を手にして作ってみた時をターニングポイントとして、紀元前・後と分けるように表現しますと、ルミさん前に好きだと思っていたお菓子の先生は柳瀬久美子さんです。もちろん、ルミさん後でも好きですけどね。

ルミさんのレシピを作る前は、栗原はるみさん、山本麗子さん、加藤千恵さん、石橋かおりさん、長尾智子さんなど、特別な道具などが無くても作りやすい手順や簡略化したレシピを紹介した先生のものを作って満足していました。柳瀬さんのお菓子は見た目も美しく美味しそうなのですが、高校生の頃からの洋菓子店さんのアルバイトから始まり、勤務に至っているプロ出身の研究家のせいか、タルト生地をプレートの上でこすってなじませたり、絞り袋も使ったり、時にはイタリアンメレンゲも作ったりする本格的なもので、自分にはちょっと手間だし面倒だな…と、著書を数冊は持っていても作らず仕舞いでした。

例えばちょっとしたおやつ本でもこうです。長尾さんが紹介するバナナを1本丸ごと包んだパイのレシピは、バナナの上からそのままパイ生地を巻いて焼くだけになりますが、柳瀬さんの場合は、香り付けの為に、オレンジの皮をピーラーで細長くむいて、バナナに巻きつけてからパイ生地で包むといった塩梅です。まず、フルーツの表皮をむくピーラーは、お菓子の初心者が必ずしも持っているものではないです。そして、皮をむいたオレンジは生食するか何らかの形で使いまわすことになるのですが、オレンジのタルト、ゼリー、クレープシュゼットなどなど、他のお菓子を知っていたり、また実際作れないと、手軽に生食できるバナナに比べて持て余しやすいような気がします。こういったことが端々にあり、本を持っていても実際に作るところまで行けなかったといいますか、億劫に感じてしまいました。

しかし、小嶋ルミさんの手間をかける細かいレシピを試して、美味しさに直結する手順というものを実感し、それに慣れてしまうと、手間はさほど苦痛じゃなくなり、システマティックに手早く作業することもできるようになり、上手くいくと爽快感すら感じるようになるものです。そしてその頃には自分が上達したような気分になっていて、いそいそと道具を揃え始めたり…。

お菓子作りに慣れ親しんだ頃に、ようやく柳瀬さんのものにいくつか取り組んでみると、しっかり甘くてメリハリのある味でした。おやつとしてたくさん食べやすい味というのではなくて(いい加減な表現かもしれませんが)フランス菓子はちゃんとフランス菓子だと。現場でお菓子の修行および仕事をされた方が、家庭で作りやすいようにレシピを組み立てているアプローチなんだなと改めて感じました。

でもって、こちらの本です。
エッセイが中心になっていますので、お菓子のレシピ自体は少ないです。でも地味に定番にしてみたいレシピがあり、私としては柳瀬本の中では一番気に入っているかも知れません。チョコレートの中にバナナを埋め込んだタルトや、チェリーパイなど、ちょっとしたこだわりと隠れた技アリで、試してみたいと思わせられます。特にチェリーパイについては、チェリーのフィリングについて、実際に作ってみて味について納得感(甘さと酸味のバランス)が得られないことが私にもありまして、やっぱりこういうことってあるよなあ…と共感しながら読めました。

チョコバナナタルトについては、藤野真紀子さんの本では「ソニアリキエル風タルト」という名称で紹介されておりましたし、津田陽子さんの最初のタルトの本にも紹介されておりました。クリスチャンコンスタンというフランスの洋菓子店にある、良く知られたお菓子のようです。元々の形は、焼成した円形のタルト生地にビターなガナッシュを流し、仕上げに薄くスライスしたバナナを放射状に並べ、ナパージュを塗ったものです。

柳瀬さんのレシピは元ネタのタルトを離れて、自分の好きな形になったそうなので、その面影はあまりありません。チョコレートのビターさは抑え目に、スライスしたバナナは表面に飾らずに、タルト生地に流したガナッシュの中に埋め込んだことでバナナの香りが付いたものになっていて、面白いなと思いました。ついでですが、津田さんのものも、チョコレートはセミスイートのクーベルチュールを使ってあります。

更に、藤野さんが考察しておりましたものを含めて共通しているところを拾ってみると、日本人には、濃厚でビターなガナッシュの味と、タルト表面に並べるバナナスライスの変色止めに使われるレモン汁の酸味の組み合わせがあまり好まれないようで(レモン汁の味が勝ち過ぎる)、作り手それぞれですが、ビターさを抑え目にしたり、オレンジの汁でバナナの変色止めしたりと、いろいろと工夫しているようです。このあたりは、フランス人と日本人の好みの違いとして読めるような気がします。でも、元ネタのタルトもパリで食べたなら、その土地さながらの美味しさが楽しめそうですね。

数年間お菓子を作るなどしてお菓子作りに慣れてきて、いろいろ考え出した頃に読むのがオススメできるタイミングかなと思います。そうでないと面白さが伝わりにくいところがあります。また、柳瀬さんの自伝的要素がありますので、読む人読まない人がはっきり分かれそうな本でもあります。
(ちなみに写真は日置武晴さんです。研究家さんの本というのは、記念的な本や気合の入った本、売れっ子になってくると、日置さんに写真をお願いする傾向があるようで、本を出す皆さんの憧れなんですね…。)



以下、目次より引用です。
☆が付いた名称は、レシピがあります。

○子どもの頃
お誕生日の思い出 ☆カスタードプディング ☆スワンシュー
おばあちゃんちのお菓子 ☆クレープ
母のおみやげのケーキ ☆型抜きクッキー
お中元やお歳暮でもらうとうれしいもの 駄菓子屋のお菓子
☆バラの香りのブラマンジェ 私が見つけたお菓子屋さん

○お菓子の仕事をはじめて
☆ショートケーキ 生クリームの塗り方
☆マドレーヌ&フィナンシェ ☆ズッパ・イングレーゼ
フランスへ行こう!

○フランスの思い出
☆ブリオッシュのデザート ☆桃のシャンペンマリネ
☆パンナコッタと桃のシャンペンマリネ
☆パータフィロのピーチパイ 
型の話 ☆レモンのバターケーキ
超個人的ミニフランスガイド

○フードコーディネーターになってから
☆アップルクランブル ☆フルーツケーキ ☆オレンジ&レモンピール
☆ラムレーズン&ミックスドライフルーツの洋酒漬け
☆スチームドショコラ ☆杏のタルト ☆洋梨のタルト
☆チョコバナナタルト ☆型いらずの簡単タルトレット
私のお気に入り ☆チェリーパイ ☆シブースト
☆余ったパイで…

材料のこと 道具のこと



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テーマ: 料理の本
ジャンル: 本・雑誌

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