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2009年の夏から、趣味で買い集めたお菓子の本についてのレビューを書いています。もっと書く事をエンジョイしたくなり、本棚から手放す本、追加する本がいくつか出てきました。ですので、ごくたまに書き込まれる本の内容についてのご質問に詳しく答えられない場合がございます。それでは、お時間ありましたら記事にお付き合い頂きつつ、ご一緒にお菓子本を楽しみましょう。

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Author:oyatsu082

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ホテルのお菓子とデザート

ホテルのお菓子に求められるものは、単なる伝統的なお菓子ではなく、目で楽しませ、味には新しさと親しみやすさがあり、ホテルのコンセプトと調和するということでもあり、かといってパティシエ個人として没個性であってもいけないようです。そして、その日の予約など、注文数のお菓子を確実に仕上げる為の合理性とコストの良さも求められています。パティスリーのように、主人の勝負したいお菓子を作って、その日売り切れれば終わりという風にいけるわけでもありません。制約と自由さとのせめぎあいのようなものを感じます。

家庭で作るのは難しいものがありますが、多くの人に喜ばれ、幸せな気分になる、食べやすいお菓子が揃っているということを考えれば、参考にしてみたい内容がいろいろとあります。日本人には重たい食感の伝統菓子を、どういう風にすれば特徴は生かしつつ軽い味わいにできるのか、見た目も麗しくするのにどうしたらよいのか、一つのお菓子を食後のデザート用とブティック(販売専門)にアレンジするにはどうしたら良いのか、何に注意したら良いのかなどなど、よくよく読み込んでいくと示唆に富んでいます。

特筆されているところは、特殊な道具やテクニックを駆使しなくても、アイデアと工夫次第でいくらでも演出が可能なのだという点です。使えるものはできるだけ使いまわします。ムースに使う小型セルクルの準備ができなければ、製法を工夫して使わなくても作れるようにしたりもします。確かに、小型セルクルについては、用意するのが大変なだけではなく、使い終わってから洗う時間や手間、人件費、保管する場所などのことを考えれば、使わずに出来ればありがたい話です。そして、結果的に出来上がってくるお菓子が、新たな可能性を含んだものとして登場してくるわけです。

焼きリンゴのタルトに使う焼きリンゴ作りは、前日に作った焼きリンゴの汁をそのまま流用して、新たなリンゴジュースを継ぎ足して、リンゴにかけながら焼きあげるというもので、まるでウナギ屋さんの秘伝のタレみたいです。味が濃厚になるのだそうです。また、同じクリームを、別のお菓子に高級感を与えるポイントとして使いまわしたりもしています。

とはいえ、材料はかなり細かく使い分けしています。一つのお菓子を作るのに、チョコレートは○○、チーズは△△…など、味のポイントになる材料については、メーカーと商品名が詳細に公開されているのが印象的です。これがなかなか家庭では難儀しそうですが、こういう味が欲しいんだという明確な意図がありますので、再現するなら出来る限り頑張った方が良さそうです。特に、栗のお菓子では、複数の産地の栗を組み合わて(ペースト、粒なども含め)、細かく使い分けられています。

また、家庭的な匂いのするお菓子、バナナブレッド、マフィンまでもがフォローされていて面白いです。バナナブレッドに関しては、バナナがたっぷり入り、重曹で膨らませるという、ある意味シンプルな作り方で家でも作れそうです。その一方で、贅を尽くしたチョコレート細工なども作り、テーブルや会場を花などと共に飾ります。扱うお菓子の範囲が非常に広いのには驚きですが、それが、さまざまなお客様が来店、宿泊するホテルという場所なのでしょう。

私は、このようなタイプの本を初めて読みました。出版年度は少し古くなってきましたが(個人的には、横田さんのデコレーションが好きなので、古かろうが新しかろうが殆ど関係なく楽しいです)、持っていて損は無いです。ホテル部門のお菓子本があまり見当たらないところを見ると、なかなか書いてくれる人がいないのかな…とも思います。ちょっと毛色が違う本で貴重だと思います。全体的な印象としては、栗、洋梨、マンゴーなど、男性よりも女性がとりこになりそうな味と造形を持ったお菓子が多いように思いました。

読み応えがある厚い本ですが、読んでいて心地よさがあります。本のレイアウトなどが、余白も充分に取られていて目にしっくりなじみます。家庭では、2009年に出版された『横田秀夫のアイデアデザート』の方が使いやすい感じがします。こちらの本も、本としての作りが好きです。



以下、目次より引用です。


パークハイアット東京で
ペストリーキッチンの1日

ベーシック
つくりはじめる前に―材料・器具など
基本の生地・クリーム


第Ⅰ章 Boutique ペストリーブティックの一年間
○ペストリーブティックショーケース
チーズケーキ デリスショコラ ルラション 栗のシュークリーム
マンゴプリン レミントン ダークチェリーサヴァラン ココナッツムース
フロマージュブラン レモンリコッタ マスカルポーネブルーベリー
フルーツタルト ロートグリュツェ ソーテルヌワインゼリーと大石プラム
桃のパリパリタルト モーントルテ ペアーシャルロット
栗のクランブルタルト マカロンモンブラン カスターニャ
焼きリンゴのタルト

○クリスマス・ディライツ
カラメルアップルクグロフ パネトーネ シュトーレン ホーニッヒクーヘン
マカデミアナッツスター ヘーゼルナッツチョコレートタルト アルデーシュ
カラメルショコラ キャスノワ

○聖バレンタインデー ストロベリーアーモンドケーキ
カーディナル ストロベリームース ブラウニー バナナブレッド

○ベーカリー
ブルーベリーブリオッシュ 栗のデニッシュ デニッシュイタリアーノ
ブルーベリーマフィン モーンデニッシュ シナモンデニッシュ
オリーブブレッド グリッシーニ フェタのキッシュ キッシュロレーヌ

ラッピング


第Ⅱ章 Restaurant レストランのデザート
五香粉のアイスクリームとダークチェリーコンポート ハーブティーゼリー
紅茶のゼリー 胡麻のブラマンジェ 杏仁プリン パンナコッタ
お米のババロア 
フロマージュ・ブランのアイスクリームと桃のコンポート ソーテルヌゼリー添え
アニス風味の苺のスープとバナナパルフェ・アイスクリーム
トフィー・クレームブリュレと無花果のコンポート
グレープフルーツのシャーベット カンパリ添え
トマトのシャーベット 黒コショウ添え
パイナップルのシャーベット ピニャコラーダ風味
プラムのシャーベットにシャンパンを注いで

チョコレートプレート
(チョコレートタルト ミルクチョコレートプリン ホワイトチョコレートアイスクリーム)

ヌガーパルフェ・アイスクリームと赤い果実 
無花果のタルトとアーモンドアイスクリーム

アップルアップルアップル
(アップルカルヴァドスムース タルトタタン リンゴのシャーベット)

栗のミルフィーユ クロテッドクリームととろけるチョコレートクリーム
ゴルゴンゾーラチーズタルトと赤ピーマンのシャーベット

シトラスプレート
(柚子のシブストタルト オレンジクロワッサンプディング ライムシャーベット)

温かい栗のプディングと胡桃入りカラメルソース


第Ⅲ章 Banquet バンケットで魅せるために
ある日のパーティ
○チョコレートの芳香に満ちるステーション
リボン バラの花 牡鹿 木の葉 グラッサージュ・ショコラの皿
チョコレート・ピストレの皿 プティ・フールの台座 アントルメの台座

○飴のシルエットに高級感漂うステーション
ヘーゼルナッツタワー カップ 3種のプレート メッシュのプレート
シュクル・フィレ パイドーム 

○フルーツ模様のディスプレイ

ベリーステーション シトラスステーション チョコレートステーション
プティ・フールステーション ランチデザートビュッフェ
デザートテーブル ウエディングケーキ


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テーマ: 料理の本
ジャンル: 本・雑誌

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